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太郎じいの皮膚科

数日前、太ももの裏側に違和感を感じて触ってみたところ何かできている。
かゆみはないが、そういやちょっと痛いような気がする。
「まあ、アリにでもかまれたんかな。」と、いつものように放っておいたところ
おもしろいぐらい腫れてきて真ん中の芯?を中心に赤く火照った部分がムクムク勢力を広げてきた。
家族からも「これはやばい。」と脅され、夜も寝苦しいようなことになり渋々今日病院へ行くことにした。

最近めっちゃきれいになった近所の皮膚科へ予約の電話をしたところ(HPに予約制とあったので)
「申し訳ありませんが本日の予約はいっぱいになっております。」とのこと。
しょうがないので、ネットで調べたもう一軒の◯◯皮膚科に直接行ってみることにした。
一軒目がいっぱいだったこともあったので、少々の待ち時間は覚悟して。

場所はすぐに分かったのだが、入るのをためらわす静まり具合。
(休みなんかなあ・・。)と恐る恐る扉を押すと開いた。靴が一足。人の話し声もする。
そーっと受付を覗くが誰もいない。
丸見えの診察室では、大滝秀治がさらに10歳ほど年をとったようなおじいさんがさかんにしゃべっている。
「わしらの頃は戦(いくさ)では・・・今の政府は・・・・。」
察するに診察とは全く関係のない世間話をしているようだ。
待合室には人影はなく、看護士さんも1人も見当たらない。
(これは・・・まずいかもしれない。このまま帰るべきか?)とボーッと立っているとおじいさんと目が合う。
「気づかれたっ!」と思った私は腹をくくった。

診察室から馴染みらしいおじさんが出て来て、不思議そうな顔で私を見ながら帰って行った。
ついに見た目は「ひでじい」しゃべりは「たつじい」のこのおじいさんと2人きりだ。
保険証を出すとじーっと見ているので不安になる。
「あの、この名前が私です。」と言うと
「分かってまんがな。」と言われる。ホッとする。

「わしらはあれやけど、あんたらぐらいの人やったら携帯電話持ってまっしゃろ。番号言うて。」
「は、はい。」
番号を伝えると、何度も復唱しながら紙にメモするたつじい。本名は太郎。
どうやら、看護士さんやお手伝いの人はおらず全部一人でやっておられるようで、多分カルテを作り始める。
じっと待つ。

やっと、診察室へ入って
「で、どうしました?」と聞かれると思ったら聞かれない。
仕方がないので
「あの、ここなんですけど。」わざわざ患部を見せやすいようにとはいてきた短パンの裾を上げようとすると
「そんなことせんでええ。皮膚科はそんなことしませんのや。」
と、太郎じいにたしなめられる。

診察台にズボンをぬいで寝ろと命じられ、
(わざわざズボンぬがんでええように短パンはいてきたのにな〜。)と内心残念がりながら太郎じいに従う。

赤く腫れた太ももを一瞬太郎じいは見て、5秒くらいで診察終了。
「ばい菌が入って腫れてますな。痛うて眠れませんやろ。」
「いえ、寝られますけどちょっと寝苦しいです。虫に刺されたのかなと思って。」

「火事になったら消防車がきますやろ。」
「???」
「ちょっとの火事やったら消火器で消せるけど、それでいかんかったら消防車やヘリコプターが
来ますわなあ。」
「はあ・・。」
「まあ、そういうことですわ。だからあんたは、わざわざ病院まで来ましたんやな。」
「はあ・・・。」

「ガーゼ知ってまっか?」
そう言って、太郎じいはのそのそ立ち上がりプラスチックの小物入れ?のようなものを持ってきた。
中にガーゼやテープが入っている模様。
その箱を開けようとするのだが、開かない。
ガタガタ開けようとがんばる太郎じい。しかし開かない。

hihuka01.jpg

静まり返った診察室で、小物入れと格闘する太郎じいと2人きり。
お願いします!!もう、勘弁して下さい。私は・・・この沈黙をどう乗り切ればいいのですか・・・
ああ、もう爆笑まで後5秒とかからない!

小さく「う・・」と私がうめいた瞬間、「パカッ」と小物入れ無事開く。助かった。

何事もなかったように、太郎じいはガーゼを取り出して薬の付け方を説明してくれる。
5回は同じ説明をくり返してくれた。
「皮膚科が使うガーゼは昔からのこれです。1枚見本にあげます。」
と1枚いただく。

その後は飲み薬の説明。
これも大変丁寧に説明してくれる。

だんだん、太郎じいに慣れてきたぞ!よし、もう大丈夫。
私からもやっと安堵の笑みがこぼれる。
結局、何が原因で足が腫れたのかは分からないが、そんな細かいことはもういいじゃないか!
アリでもムカデでも、そんなことは関係ない。
私の足は火事だから、太郎じいのところへ来た。それでよし。

ということで、最後の精算になるのだが、
「わしは1人やから、計算の間そこで寝といたらええ。」と太郎じい。
「いえ、大丈夫です。座っていられますんで。」
と、診察台で座る私を見て再び
「いや、寝といたらええ。安静が一番ええから寝ときぃ。心配せんでも誰も来んがな。」
私が横になるまで、太郎じいは精算を始めてくれないと分かった私はおとなしく寝転んだ。
「そうや、そうしとき。家でもそうしとき。」
「はい。」
満足そうに太郎じいは計算を始めてくれる。
シーンと静まり返った診察室で、計算する太郎じいとじっと寝る私。

(これは、ブログに書くしかない。書かないわけにはいかない。)
くすんだ天井をじっと見ながら、私は決意した。

太郎じいの言う通り、私の後には誰も来なかった。
私が帰ると太郎じいはひとりぼっちになるな・・・。
うっかり私がお邪魔したことで、まだまだ続いたであろう太郎じいと馴染みのおっちゃんの時間を
切り上げさせて申し訳なかったな・・・。
そんなことまで、ついつい考えてしまう。
なんだか少し、この衝撃の太郎じいとの別れを寂しく感じる。

お金を払って、何度もお礼を言って太郎じいの皮膚科を出た。

「あんたらみたいな若い人は忙しいやろ。ここで寝ていったらええ。」
とまで言ってくれた太郎じい。
私は若くも忙しくもありませんが、太郎じいの教えを守って立派にこの腫れたとこを治します!敬礼!




















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